バイクフレームをオーダーする
PART5 フレーム塗装・いよいよ完成へ
出来上がったフレームは一旦オッフィチーナを離れペインターに委ねられる。フレーム製作もいよいよ最終段階だ。
完成したフレームはペインターのもとに届けられます。
塗装まで自社内で行う自転車メーカーは数少なく、多くは専門のペインターに依頼します。
常に高品質なものづくりにこだわるドリアーノとマルティーナがパートナーに選んだペインターは、BIXXISに負けず劣らず、質が高く丁寧な仕事にこだわる優秀な職人です。
では、ペインターの作業を見ていきましょう。
まずはじめに下地処理。サンドブラストで砂を吹き付けて表面を研磨します(サンドブラスト)
サンドブラストでフレームの表面を研磨したら、続いてプライマー処理。エポキシ系下地剤には塗料の乗りを良くすることと、金属剤を絶縁して環境による劣化から守る2つの役目があります。
金属が大気中の酸素に反応することで生じる電気性アーチが、金属の腐食を誘発します。これが錆びの原因です。
続いて、カラーの塗装。各ロゴも塗装で、シールやプリントは仕様していません。
クロモリフレームPRIMAのスタンダードカラー場合、フレーム各部をマスキングし、延べ4色、4度スプレー塗布しています。
塗装工程の最後は、フレームを紫外線や傷から保護するクリアの塗布。
塗装を終え再びドリアーノのオッフィチーナに戻ってきたフレームを再びチェック。
何とも入念な手間のかけかたですが、BBにカップが無理なく入るか、ハンドルは滑らかに回るかをチェックし、必要に応じて再度リーマーで処理します。
BIXXISではフレームのみのオーダー製作に限らず、完成車の組み立ても行っています。
パーソナライズを最大限に楽しみたいなら、“完成車”としての購入をご検討ください。
「BIXXISではユーザーのリクエストに応じてバイクの組み立てもやっている。パーツ選びには常にアドバイスを欠かさない。それをもとにユーザーがチョイスすることを楽しんで欲しい」
とドリアーノ。
BIXXIS JAPANも同様に、完成車の組み立て、各社コンポーネント・パーツを取り扱いしております。
オーダーメイドのバイク製作(すなわちフレーム製作だけにとどまらない)は極めて自由度の高いパーソナライズにより、ユーザーの身体的特徴だけでなく、嗜好にも細かく応えてくれる、文字通り“あなたのために作られた”魅力的なバイクを手に入れてください。
いかがでしたか?
5回に渡ってオーダーメイドバイクの世界を紹介してきました。
海外生産のカーボン製で低コスト化が実現したロードバイクが主流の中、ハンドメイドのスチールバイクで、文字通り自分のために作られたバイクを手に入れてオーナーになるのは、とても特別で魅力的な経験です。
テーラーでスーツを仕立ててもらうようにバイクフレームをオーダーメイドして、長く付き合っていける“お気に入りのパートナー”を手に入れるという楽しみが得られるのです。あなたもきっと、バイクが納車されるまでワクワクと心躍る日々が送られることでしょう。
フレームビルダーには、職人としての精密さ、金属加工や、溶接の高度な技術と知識が求められるのはもちろん、ユーザーの話しに耳を傾け、最適なアドバイスをし、ユーザーと考えを共有しながら、共にフレーム製作を展開するプロデューサーのような資質も備えている必要があり、決して容易な職業ではありません。
かつて、町にはいたるところに小さな鉄を扱う工場がありました。鉄と油のにおいがするその工場では、職人の親方のもとで、若い見習い達が働いていました。
親方の手ほどきを受けた彼らが、今日までその伝統と技術・経験をもたらしてきました。
自転車産業においては、カーボン製で製造拠点を海外にシフトすることで低コストの大量生産が可能になったロードバイクが主流の昨今、ドリアーノのような職人たちの手作業は「儲からない」と軽んじられて居場所をなくし、彼らが自らの仕事、すなわちものづくりにプライドと情熱を手向けて守り続けてきた製造技術や伝統が失われつつあります。
「BIXXISで冒険を始めることを決めたのは、バイクフレームを作り続けたいというシンプルな願いからだ。原点に立ち返りたかった。私がこれまでに培った経験はたいしたものではないのかもしれないが、それを継承してゆきたい。
ハンドメイド・カスタムメイドのスチールバイクというコンセプトで市場を生き抜くのは簡単ではないだろう。しかし、私が人生を通してやってきたことをBIXXISでも続けたかったのだ。」
BICICLETTE ITALIANE PER IL XXI° SECOLO(21世紀のイタリアンバイシクル)
ドリアーノ・デローザのそんな思いが込められた自転車です。